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ヤマナアカデミーのディレクター2人が語る~講座も自分たちでDIY(Do it Yourself)!

「いきつけの田舎をつくろう」を合言葉に、“地域課題”を学びながら、“自給自足スキル”を身につけるのが「ヤマナアカデミー」。それを企画・運営しているのが、横山さん・木村さんです。ヤマナハウスで出会う前から知り合いでもあったというお2人。どんな背景からヤマナハウスと関わりはじめたのか。ヤマナアカデミーを運営するなかでどのような思いがあるのか。伺いました!

話し手:木村優美子さん・横山知由さん(ヤマナアカデミーディレクター)


「一度遊びに来てみたら」と言われてヤマナハウスを訪れる

――ヤマナハウスと関わるようになったきっかけについて、教えてください

横山さん:最初は、ヤマナハウスというより村長・永森さんとの出会いでした。2015年頃だったと思いますが、僕自身が鴨川市で「天然村」という場所を運営していた時期です。活動の共通性があるのではないかということで、知人に紹介してもらいました。その時にはお互いの活動紹介止まりだったのですが……後に「天然村」での活動継続が厳しくなってきた時に、最初に相談したのが永森さんだったんです。それでヤマナハウスの活動を一度見においでよと言われて、BBQイベントに参加したのかな。

――横山さん自身でも田舎暮らし体験の場を運営していたけれど、その方向性が変わったということですね

横山さん:そうです。自分としては活動を続けたかったので、何か連携できるようなことがないかと考えました。僕自身は観光庁の「広域周遊観光促進のための専門家」というのにも実は登録していて。地域に人が来訪することや、移住促進というところにずっと関心があるんです。

――そうなんですね!

横山さん:僕が空き家活用という文脈で地方創生を考えてきたのに対し、ヤマナハウスは広く関係人口をつくるようなアプローチだなと感じ、お互いの経験を組み合わせられないかと思いました。それで永森さんと企画したのが、「ハンターズハウス」というプロジェクトです。コロナ禍で空室が出ていた民宿の活用と、狩猟体験というコンテンツを組み合わせたのですが。結構反響がありました。

――そういう取り組みがあって、ヤマナアカデミーにつながったのかなと理解しました。一方で横山さんと木村さんとは、「天然村」の頃から知り合いだったそうですね

木村さん:そう。私は鋸南町を拠点に安房地域で出張女将料理というのをやっていて、鴨川にもよく行くんです。ある時「天然村」ができるという看板を目にして。「何これ?」と思っていたら共通の知人に紹介されて、飲み仲間になりました(笑)。でもそうした集まりが減っていった頃から疎遠になって……で、ヤマナハウスのイベントで久々に再会したんです。

――そんな縁もつながるのですね! 木村さんの方は、ヤマナハウスにどういったタイミングから関わりだしたのでしょう?

木村さん:私も最初はヤマナハウスというより、村長・永森さんとのご縁です。東京でのイベント向けに南房総の料理人を探していたそうで、共通の知人を介してその仕事を受けたんです。何回かそうやって仕事が続くうちに、ヤマナハウスでイベントあるからと紹介されて。BBQに行ったのが最初だったと思う。私自身は家がヤマナハウスよりもっと山奥なので、月例とかへの興味ではなくて、面白そうなイベントがあるたびに参加していたという感じでした。

――今は食事担当ということですっかり頼りにされていますが…!

木村さん:いつからか(笑)。何回か月例におやつの差し入れを持って行ったんです。そうやって関わりだしたら、イベントでの飲食とかの相談があって。そうなると職業柄、台所のつくりとかも気になるわけですね。それで台所改装のアドバイスとか、イベントの時の盛り付けのアドバイスとかをしていたら、だんだん本格的な相談になって。そしてローカルサポーターになりました。

――食起点の活動が入ったことで、月例活動も幅が広がっている気がします

木村さん:ただ私自身もヤマナハウスとの縁で、関心が広がりました。その1つがジビエです。それまでは料理で扱わなかったのですが、沖さん(ヤマナハウスメンバーで館山ジビエセンターを運営)のさばいたお肉が臭みもなく食べやすかったんですよね。で、BBQの様子を見ていると、お肉焼くだけ(笑)。もっといろんな調理ができると思って、折々のイベントで提供するようになりました。

「いきつけの田舎」で知恵を得る機会として、ヤマナアカデミーを運営

――ヤマナアカデミーについて改めて教えてください。それぞれが講座を担当されましたよね

横山さん:去年は僕が「小屋DIYコース」、木村さんが「狩猟ジビエコース」のディレクターでしたね。以前にも単発講座をやったことはあったのですが、きちんと複数回コースとして整備した初年度の講座。それで今年度、「里山料理と発酵食コース」を木村さんディレクター、「空き家DIYコース」を横山がディレクターで進めています。

 

――ヤマナアカデミーの特徴ってどんなところでしょうか

横山さん:空き家を見つけて移住したい、自分で改装したいというニーズは耳にするのだけれど、一気にそこに進むのは難易度が高い人もいるかもしれない。その一歩手前として、小屋づくりに取り組んでみる、週末2拠点のような機会をもつというところで、使ってもらえる講座になればと思っています。

木村さん:「狩猟ジビエコース」の場合は、イノシシという命あるものを、つかまえて解体して食べるという一連の流れを大事にしました。解体して終わりではなく、ちゃんと食べつくすところまでつながった取り組みでないといけないと元々思っていて。それが田舎で暮らすとか、関係人口として関わっていくことにもつながると思っています。

横山さん:ヤマナアカデミーの参加者の方が、その後メンバーになってくれたり、イベントに参加してくれたりしているんですよね。こうやって関係人口が増えていくところに、ヤマナハウスのコミュニティとしての力をベースにしていることの特色も感じます。

木村さん:今年やっている「里山料理と発酵食コース」は、里山を食べつくすという観点と、私たちの暮らしに古くから関わってきた発酵を知ることができる観点とを盛り込みました。お米、野菜、漬物等々、各分野のスペシャリストに来てもらうことで、いろいろな知恵を身に着けられるというのも、ヤマナアカデミーならではの特色だと思っています。

それぞれのやりたいように過ごせるのがヤマナハウス

――ヤマナハウスの特徴ってどう見ているのでしょう?

横山さん:一番の魅力は、「普通の人」が集まる場じゃないかな。たぶん、村長の色で引っ張っているわけではないんですよね。もちろんその役割はすごく大きいのですが。何かの属性とか、何かの色合いの人に偏ることはなくて、年齢も性別バラバラで、かついろんな関心層の人たちが集ってコミュニティができている。これって意外とレアで、だからこそ僕自身も面白いと思って関わっているんだと思います。

木村さん:私もいろいろなコミュニティに参加してきたけれど、確かにいろんな人がいる面白さは感じるかな。「自分たちの流儀」みたいなものを大事にするコミュニティもあるけれど、そうすると「こうあらねばならない」が強まる気がしていて。その点でヤマナハウスは「楽」な気がする。自分で「こうありたい」という人はそうしたらいいし、「気ままにいたい」という人はそのスタイルでいいし。

横山さん:ヤマナハウスの本当の可能性というのは、やりたいことが受け入れられて、実際にできるということ自体だと思っている。ヤマナアカデミーだって、他の人が新しいものを立ち上げてもいいわけなんですよ。

木村さん:私の仕事は常に「唯一無二」なものをつくりだすことで、その場、その季節、そのシーンにあわせて毎回料理をつくるんです。常に自分たちで考えてアップデートしていくヤマナハウスと、そうしたところが共通している気がする。だから思考が合うのかもしれない。

――すべてを「DIY(Do It Yourself)」しようというのがヤマナハウスの考え方ですよね

横山さん:僕自身、別に何かが突出してできる人でもないし、建築をするようなDIYだって得意ではないんだけれど、こうやってアカデミーを始めることができて、発信する立場にもなって、実際に運営しているんです。そういうチャレンジができる場だと思うし、もっといろんなチャレンジが自然発生的に増えていけばいいなと思っています。

――ヤマナアカデミーの今後の展望について、どんなことを考えられていますか?

横山さん:海沿いの原岡地区というところにも「ハラオカハウス」という拠点をつくりはじめていて、将来的には里山と里海の両方で活動が広がればと思っています。「ハラオカハウス」ではこのあと「空き家DIYコース」というヤマナアカデミーもスタートさせます。こういう活動を通じて関係人口を増やし、将来的な移住者増加につながればと思っています。

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